ラッカー系・水性・エナメルの併用最適化。模型用塗料使い分けの備忘録

探索者の手記(思考と学び)

こんにちは、模型の深淵(アビス)の探索者、らばです。

模型塗装において、どの塗料を選ぶかは永遠のテーマです。最近は家族や環境への配慮から低臭気な水性塗料への関心が高まっていますが、どれか一つに絞る必要はありません。

今回は、私が普段愛用しているラッカー系を軸に、水性ホビーカラー、進化著しいエマルジョン系水性塗料、そして仕上げに欠かせないエナメル塗料まで、それぞれの特徴と「失敗しない使い分け術」を自らの経験に基づいた覚え書きとしてまとめました。

※補足:
本記事は筆者の使用経験に基づいたものですが、一部の塗料(ファレホ、シタデルカラーなど)については、自身の経験が浅いため、公表されている仕様や調査した内容を元に構成しています。


1. 主要塗料の特徴とメリット・デメリット

  • ラッカー系塗料(溶剤系アクリル樹脂塗料)
    模型塗装のスタンダードであり、最も信頼している塗料です。種類も豊富で入手性も安定しています。溶剤成分が揮発する事で樹脂と顔料が残り塗膜になる。
    • メリット: 乾燥が圧倒的に速く、塗膜が非常に強固。発色も良く、パールやメタリックの質感も最高峰。
    • デメリット: 強い溶剤臭があり、ベランダ塗装や換気設備(塗装ブース等)が必須。
  • 水性ホビーカラー(水溶性アクリル樹脂塗料)
    劇的なリニューアルを経て、ラッカー系に肉薄する性能を手に入れた塗料です。こちらも溶剤成分が揮発して樹脂と顔料が残り塗膜になる。ラッカー系と水性塗料の中間的な立ち位置。
    • メリット: ラッカー系に近い感覚で扱え、乾燥後の塗膜も比較的強い。溶剤臭がマイルドで、専用うすめ液を使えばエアブラシ塗装も非常にスムーズ。
    • デメリット: 完全乾燥にはラッカー系よりも時間がかかる。また、乾燥後も強い溶剤(ラッカー系溶剤など)には溶け出すため、重ね塗りの順番に注意が必要。
  • エマルジョン系水性塗料(便宜上ここでは水性塗料と表記します)
    水の中に樹脂が分散しているタイプで、次世代の安全性を誇ります。乳化により塗膜が形成される。乾燥すると再溶解しない特徴を持つ。
  • エナメル塗料
    独特の伸びの良さと発色を持つ、塗り分けの強い味方。
    • メリット: 乾燥が遅いため筆ムラが出にくく、表面張力でモールドに流れやすい。
    • デメリット: 溶剤がプラスチックに浸透しやすく、パーツが割れるリスクがある。

2. 進化する水性塗料:ブランド別特徴まとめと活用術

1. Kaleido ColorWorks(カレイドカラーワークス)

「水性で光沢仕上げ」を可能にする大陸の新星。Gaahleri(ガーレリ)が展開する、エアブラシ専用に調整された次世代水性塗料です。水性特有の「乾燥後のつや消し感」がなく、塗りっぱなしで非常に高い光沢が得られます。希釈済みのため、ボトルから出してそのまま吹ける手軽さも魅力。カーモデル等のメイン外装に最適です。またメカシリーズは半光沢の塗料もあります。クリアも光沢、艶消しがあるので後からツヤの調整も可能です。

 Gaahleri 水性塗料 Kaleido Auto 24色セット

使用感はこちらの記事を参考にしてみて下さいね。

「水性塗料の限界突破!Gaahleriカレイドカラーで塗るランバ・ラル専用ドム製作記」PR

2. アクリジョン(GSIクレオス)

「新世代エマルジョン」の先駆け。従来の「水性ホビーカラー」とは全く異なる樹脂構成で、完全乾燥後の塗膜が非常に硬く、上からラッカー系を重ねても溶けないほどの耐溶剤性を持ちます。ABS樹脂を侵しにくいのも大きな利点です。

3. ファレホ / シタデルカラー

「筆塗りの王様」として君臨する海外勢. ボトル入りのエマルジョン系塗料で、圧倒的な隠蔽力を誇ります。黒下地からでも白や黄色がパキッと発色し、伸びが良く、筆ムラが非常に出にくいのが特徴。フィギュアの顔、細部の塗り分けに威力を発揮します。ファレホのモデルエアーは非常に使いやすかったのですがつや消ししかない?

4. アクリルガッシュ / U-35(ターナー色彩)

ガッシュは顔料が多く入っており隠ぺい力が高く「究極のマット(つや消し)」、U-35は「高い定着力と透明感」が魅力。どちらも絵具系ならではの独特の質感を表現できます。ガッシュは安価で色数が豊富。重厚な質感を出したい戦車(AFV)や布地の質感を表現したいパーツに最適です。また最近エアブラシ用のうすめ液が発売されたのもあり個人的には今後使っていきたいところ。

ターナー色彩アクリル絵具用 エアブラシうすめ液 250ml

★ ピカエースによるカスタマイズ
水性ホビーカラーはラッカー系に比べると色数が少なめですが、「ピカエース」の高品質な顔料(パール顔料のラスタービビッドや蛍光顔料等)を混ぜることで、無限の色作りが可能です。色数の少なさをカバーしつつ、自分だけのオリジナルカラーを楽しめます。ただしメタルパウダーの洋金粉はサビ(緑青)が発生するので水性ホビーカラーには不向きです。

ラスタービビッド (ベロアブラック)

3. 個人的なおすすめ優先順位

使い勝手と仕上がりのバランスを考えた、私の推奨順です。

  1. ラッカー系(基本のメイン塗装・下地に)
  2. 水性ホビーカラー、エナメル(塗り分けや中層に)
  3. エマルジョン系水性塗料(臭いが気になる方や安全重視の場面に)

4. 特徴を活かした「重ね塗り」の戦略

● ラッカー系 × 水性のコンビネーション
基本は「強い塗膜(ラッカー系)の上に、優しい塗膜(水性ホビーカラー)」を重ねるのが鉄則です。塗り分けではみ出しても、キッチンマジックリン(※家庭用洗剤のマジックリンを使用する手法も有名ですが、メーカー非公式のため自己責任となります)で拭き取ることで、下地のラッカー系を傷めず修正できます。

● セーブポイントとしての「水性クリア」
メッキ調塗装の下地や、デリケートな塗装面の保護に水性塗料のクリアは非常に期待できます。下地を侵しにくい特性を活かし、輝きを損なわずにコーティングする「セーブポイント」としての活用が推奨です。ただし完全乾燥まで日数を要します。

● エナメルでの最終ディテールアップ
ラッカー系や水性ホビーカラーで仕上げた上から、エナメル塗料で細かい部分を塗り分ける。この「層の使い分け」こそが、失敗を防ぐ最大のコツです。また墨入れはエナメル塗料が最適です。汚しやシェードをかける目的で使うこともあります。

結論:使い分けこそが「時短」への招待状

「全部同じ種類の塗料で塗らなきゃいけない」という縛りを捨て、適材適所で使い分けること。
これこそが、ストレスを減らし、クオリティと完成スピードを両立させる最短ルートです。

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次はどんな「深淵」が待っているのか。また次回の探索記録でお会いしましょう!

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